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MathType 数式は画像(イメージ)
一般的なワープロ文書は文字だけのテキスト部分と(主に別のソフトウェアで作成あるいは加工した)イラストや写真といった「図」(画像)部分で構成されますが,MathType
7 の数式は,フォント(コンピュータ内の文字データ)で描かれる「図」(ビットマップ形式画像)にあたります。
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MathType とMicrosoft Office
MathType 7 はMicrosoft Office の主幹構成アプリケーションであるWord 上に[MathType]メニューという独自のメニューコマンドを設けます。
そこでWord の「行内オブジェクト」機能を使って,文書上に編集用のリンクを伴う数式の「埋め込み」,数式番号の挿入など様々な拡張機能を展開できます。
Word 2003 までMathType の数式フォーマットは「標準」となっていましたが,2007 以降はMicrosoft 社が作成した独自フォーマットの数式作成プログラムが標準となりました。
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MathType と数式エディタ
2003 までのMicrosoft Office に内蔵されていた数式作成ツール 「数式エディタ(Equation Editor)」はMathType をベースにしたもので、Microsoft 社にOEM 供給されていました。
またクラリスワークスやAppleWorks にも同じ名称のMac 用ツールがOEM 供給されていました。
Microsoft Office は近年のバージョンアップに伴い,Microsoft 社の自社開発したものに置き換わりました。
クラリスワークスやAppleWorks は生産もサポートも終了し,現在のiWork には数式作成機能は内蔵されていません。
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MathType とTeX
TeX ないしはLaTeX
は印刷用の組版言語であり,それがそのまま商品パッケージとして流通している訳ではないので,一般の方が触れる機会こそ皆無に近いかもしれませんが,数学や化学関連の研究者の間では広く普及しています。
とはいえ,科学知識とTeX の知識が比例している訳ではなく,複雑な数式を作成するとなると慣れた人でもかなり大変な作業になります。
MathType では,ウインドウ上の数式をTeX で書き出しできるので,TeX コードの並びなどであれこれ悩む手間が省けます。
また直接ウインドウにTeX コードで入力することもできます。
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MathType とAdobe Illustrator
MathType の数式はPostScript との互換性を有したフォーマットで,Adobe Illustrator の書類上にドラッグ&ドロップ,もしくはコピー&ペーストで移動できます。
Illustrator は文字通りイラストレータやデザイナーの間で広く普及しているドロー(描画)ソフトウェアで,PostScript 言語を用いています。
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Visual Basic for Applications について
まずVisual Basic とはMicrosoft 社が開発したプログラム言語で,これをMicrosoft Office
の拡張機能のマクロに応用したのが,Visual Basic for Applications(VBA) です。MathType 7 がWord
やPowerPoint のメニューコマンドの一部として,そのアプリケーションに一体化できるのもそのおかげです。
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MathType と組版ルール
MathType 7 は数式を美しく表示するための組版用の言語であるTeX で入出力することができます。
またTeX のルールに則って自動的に間隔調整を行います。
さらに紙面上の数式表現のルールへの準拠に留まらず,Web 上の数式表現の基準となるW3C(World Wide Web Consortium )数学作業部会によるMathML もサポートしています。
紙面でもWeb 上でも最高品位の数学表現の手伝いを行っているのです。
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新旧Word フォーマット と数式エディタ
Word 2003 までの標準文書フォーマット(.doc) とWord 2007 以降の標準文書フォーマット(.docx)は性質が大きく異なります。
後者は前者の.doc 文書を読み込むことができますが,その逆はできませんし,数式の標準フォーマットも異なります。
前者にはMathType をベースにした数式作成機能「数式エディタ(Equation Editor)」が標準で組み込まれていたのでMathType との互換性に優れていました。
後者はMicrosoft 社独自のものとなり,MathType との互換性はありませんし,数式エディタでも編集できません。
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